熊本の場面かんもく家族支援・メンタルケア

場面緘黙とは

「診断名」や「定義」は時代とともに変化してきました。

そのため、過去の診断名にあるような概念でとらえると誤解が生じるので注意が必要です。

もともと1877年に、ドイツ人医師の kussmaulによって「随意的失語症」と名付けられ、場面緘黙は、子どもの過去のトラウマ体験や不適切な養育環境によって引き起こされると考えられていた。ある場面では発話がみられない一方で、他の場面ではそれが可能であることから、子どもが話さないことを随意的(意図的に)選択していると考えていた。

さらに、1934年スイスの精神科医tramerは、子どもが話さないことを「選んでいる」という考えを強調し「erectiv mutism」(選択制緘黙)と名称を変更した。

そして、緘黙症状が特定の場面で起こるのは、発話を意図的に拒否しているのではなく置かれた環境の中で経験する不安によるものであるという最近の研究結果を反映し、1994年に「selectiv mutisum(場面緘黙)」名称を改めることになった。

 

 

出典:場面緘黙の子どものアセスメントと支援 心理師・教師・保護綾のためのガイドブック エイミーコルトバ著 丹明彦監訳

つまり診断名は「随意性失語症」

 「選択制緘黙」

       「場面緘黙」(現在の診断名)と変わり、

定義も「過去のトラウマ体験や不適切な養育環境」

    「自ら話さないことを選んでいる」

    「発話を意図的に拒否しているのではなく、環境の中で経験する不安による」
    (現在の定義)と変化しました。

ちなみに、過去のトラウマ体験で話せなくなるのは場面緘黙ではありません。
→PTSDや心因性失声症の可能性があります。(いずれも心理的なストレスによるものです)。
他にも「声が出なくなる」症状には、脳の損傷によるものや声帯の機能に何らかの異常がある場合にも起こります。いずれも場面緘黙ではありません。

*見かけの症状だけで判断せず、専門医の診断が必要です。

不適切な養育環境が原因で場面緘黙になる、という考え方も現在では否定されています。
しかし、現在でも一般によく知られていないために、ストレスのせいだとか養育環境のせいだとか誤解されることが多いです。

医学的的診断基準 (DSM-5 米国精神疾患の診断と統計マニュアル第5版 2013)

*この時の診断名は「選択制緘黙」でした。その後和訳も改訂され、「場面緘黙」と訳されています。

  • 他の状況で話しているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況(学校など)において一貫して話すことが出来ない。
  • その障害が、学業上、職業上の成績又は対人コミュニケーションを妨げている。
  • その障害の持続時間は、少なくとも1か月(学校の最初の1か月に限定されない。)である。
  • 話すことが出来ないことは、その社会的状況で要求されている話し言葉の知識、または話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない。
  • その障害は、コミュニケーション症(小児期発達流暢症など)では上手く説明されず、また自閉スペクトラム症、統合失調症または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではない。

場面緘黙が起こるメカニズム

 

他の不安症障害と同様、場面緘黙にも遺伝的素因が関係している。・・・つまり、場面緘黙は不安という遺伝的素因が、緘黙という症状として子供に表れているということである。場面緘黙の保護者が、場面緘黙と社交不安の特性を持っていることは珍しいことではないし、きょうだい(特に一卵性双生児)が場面緘黙の症状を示す可能性は極めて高い。

不安に対する脳のメカニズムに関する研究では、偏桃体が不安の認知と反応をコントロール上で重要な役割を担ていることが分かっている(Davis, 1992)。我々の脳が、ある状況を危険と認識すると、偏桃体がその危険と闘うか回避するかのいずれかの反応(闘争逃走反応)を引き起こし身体を守り心理的にも防衛的態度をとるよう大脳皮質へ指示が送られる。

しかしその状況が実際には危険ではない場合でも、このメカニズムが働いてしまうと大脳皮質は偏桃体からの信号を止めることはできない。

したがって、危険でないものを危険と誤って認知したり、ほんのちょっとした危険に対しても過敏に反応してしまったりと、生理的なレベルで不安反応へと発展してしまう。・・・・・つまり、彼らが、言語的コミュニケーションを求められる状況を必要以上に危険だと受け止めてしなうということを意味してる。

 出典:場面緘黙の子どものアセスメントと支援 心理師・教師・保護綾のためのガイドブック エイミーコルトバ著 丹明彦監訳

場面緘黙の症状形成プロセス~どのように緘黙が始まるのか~

この表では、子ども自身や家族内要因だけでなく家族が生活している近隣地域の問題が症状形成のプロセスに影響している可能性を明らかにすることが目的でした。従来からよく用いられている行動の枠組みを適応して、大きく3つの要因に分けて分類しています。

 

出典:場面緘黙支援の最前線 P35 表2.2(Clin&Baldwin. 2014.Table3.3)ベニータ・レイ・スミス/アリス・スルーキン著 かんもくネット訳
   近隣地域 家族 子ども
下地となる要因(リスク要因) 家族の地域孤立や疎外 親の個人的経験
会話が少ない家庭習慣
家庭内要因
(困難に直面した際、緘黙によって対処することを助長)
行動抑制的な気質特性
子どもの要因
(困難に直面した際に緘黙によって対処しがち)
発現要因
(引き金)
    新しい社会環境への移行期に(あるいは他の困難で負荷がかかった時)そこで話さない行動で対処
維持要因(症状の維持要因) 緘黙を強化する周囲(大人や友達の態度) 緘黙を強化する家族の態度 緘黙による不安軽減
二次利得を得た経験

このように著者は、場面緘黙が起こるプロセスには、外部の環境と本人の特性、家族の特性を絡めて、下地となるリスク要因や発症の引き金、周囲の態度などが関係しているといいます。

つまり、裏を返せば、周囲は緘黙の変化のプロセスにもかかわることが出来ると考えることが出来ます。

どのように支援するか ~出来るところから~ 少しずつ

出来ることからというのは、行動の負荷が小さいところからということです。環境に働きかけると言っても、今住んでいる所を引っ越す(これも一案ではありますが負担は大きい)とか近隣住民との関係性(孤立や疎外があったとして)を変えることは負担が大きいのではないでしょうか。家庭の中で今できることから・・と考えるとやり易いでしょう。

 刺激フェーディング法 段階的暴露療法など スモールステップで取り組むことが大事です。

例えば保護者が(気づかずやっている)緘黙症状を強化する行動を止めて、緘黙児の話すことへの心配・恐怖の小さい場面から少しづつ「声を出す練習」が「良い体験として」強化されるようにサポートします。

注意事項❕

  • 練習と言っても無理は絶対に禁物です。話すことを強要すると不安が高まり逆効果です。
  • 本人が「楽しい」と思う活動の中で
  • 始めは母など、安心できる人と一緒に
  • 上手くいけば「褒める」「小さなご褒美」など次にチャレンジしたくなる仕掛けを
  • 実際には行動できなかった時→「大丈夫だよ。頑張ろうとしたことはすごいよ」と、「チャレンジしようと決心した」ことを褒める
  • 行動した結果上手くいかなくても、「チャレンジした事」を褒める(ここ、大事です)
  • 焦らずその子のペースを尊重する

緘黙ペアレントトレーニングでは、【保護者のかかわり方】+【話す練習の仕方】をお伝えします。

メンタルケア心安では、医療機関の実践を基に専門の心理師が場面緘黙の保護者をサポートします。

保護者は緘黙症のお子様にとって一番安心できる支援者です。場面緘黙の正しい知識と、かかわり方を学ぶことでお子様のコミュニケーションを助けることが出来ます。

ただし、上記の「練習」を行う前に、1人1人のお子様の状態をアセスメントすることが大切です。

・場面緘黙の症状は多彩で個人差が大きいので、その子に合わせた細かい調整や工夫が必要です

・どこから取りくめばいいのだろうか?この方法でいいのだろうか?疑問に思う点もあるかと思います。

詳しくはお問い合わせください☞https://ysmentor.net/smsien/smpt/

 

 

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