熊本の場面かんもく家族支援・メンタルケア

場面緘黙のわが子は今どの段階にいる? ― かんもく児の未来を開くお茶会から見えた「4つの状態」と親の関わり方 ―

「場面緘黙の子どもには、今どんな関わりが必要なのか」

こんにちは 中之園はるなです。
2013年から場面緘黙症の子どもと保護者を支援している公認心理師です。
家以外で(ほとんど)話せないのが、1か月以上続くと、場面かんもく症の医学的診断基準のひとつに該当します。他にもいくつか診断基準はあって、詳しくは「場面緘黙 診断基準」と検索すればすぐ出てきます。

情報を手に入れることは簡単な現代になりましたね。しかし、のべ4000人以上のかんもくに悩む親子さんをサポートしてきて、実感するのはさまざまなタイプと、段階があるという事です。これを間違うと支援が上手くいきません。

今日は、かんもく状態の【段階】についてのお話です

「わが子は、今どの段階にいるのか」これは、多くのかんもく児の保護者が、一人で考え、迷い続けている問いではないでしょうか。

先日(2026年1月19日)開催した「かんもく児の未来を拓くお茶会」は、まさにこの問いを、構造的に見つめ直す場でした。本記事では、そのお茶会の内容をもとに、専門家の視点から、

 

  • 場面緘黙の子どもに見られる「4つの状態(段階)」

  • それぞれの段階で、親が知っておきたい関わり方

  • 体験談から見えてきた、回復の本質

を深く整理してお伝えします。


かんもく児の支援で見落とされやすい「前提」

*1月19日【かんもく児の未来を開くお茶会】の参加者様👆

場面緘黙症の支援において、最も誤解されやすいのは、「話せるか/話せないか」だけで状態を判断してしまうことです。

しかし実際には、子どもの状態は

 

  • 不安の強さ

  • 環境への適応度

  • 他者との心理的距離

  • 自己選択感の有無

 

など、複数の要素が絡み合いながら、子どもは少しずつ変化していきます。

そのため私は、支援や子育てを考える際、「今どの段階にいるのか」を整理することを、とても大切にしています。

今回のオンラインお茶会でも、この視点を軸に進めました。


かんもく児に見られる「4つの段階(状態)」

【第1段階】安心はあるが、行動が止まっている状態

  • 家庭など特定の場面では比較的落ち着いているあ(言葉が出る)

  • しかし外では、緊張が強く、行動が極端に制限される

  • 「話さない」だけでなく、「動けない」「選べない」ことも多い

この段階では、無理に行動を増やそうとする関わりは逆効果です。

まず必要なのは、「安心の中で存在していていい」という体験。今回のお茶会でも、わが子の外での様子を見ていると、家だけでは安心している。外でははっきりと緊張感が伝わってくる。

「まずはこの段階だったのかもしれません」と気づかれる保護者の方が多くいらっしゃいました。


【第2段階】自分で選ぶ経験が、少しずつ芽生える状態

  • 表情や視線、非言語での意思表示が増えてくる

  • 小さな選択(座る場所、関わる人など)ができるようになる

  • まだ言葉は少なくても、内側の動き(話せるようになりたい気持ち)は始まっている

この段階で大切なのは、「選べたこと」そのものに注目する視点です。

話せない=何もできていない、ではありません。

お茶会のブレークアウトルームでは、

この段階にいるお子さんを持つ保護者の方が、「話さないことばかりに注目していて、できていないと思っていたけれど、実は違った」と気づく場面が多く見られました。


【第3段階】不安があっても、行動を選べる状態

  • 緊張や不安は残っている

  • それでも「やってみよう」と行動を選べる

  • 支援や環境調整があれば、挑戦が可能になる

今回体験発表をしてくれた中学2年生の男の子は、まさにこの段階を経て、きました。

話せなかった頃の自分。トレーニングを重ねながら、少しずつできることが増えていった過程。そして今の気持ち。

まだぎこちなさはあるものの、「自分の言葉で語ろうとする姿」そのものが、この段階の大きな特徴です。


【体験発表】中学2年生の男の子が語ってくれた「変化のプロセス」

今回のお茶会で、参加者の心に最も深く残った時間の一つが、2024年の【かんもく親子フェス】IN熊本でリモートで参加してくれた

中学2年生の男子(S君)による体験発表でした。今回、動画でご覧いただきました。

彼は、幼稚園のころから自分の言葉で気持ちを伝えることができず、強い緊張と不安の中で、日常生活の多くの場面に困難を抱えていました。


話せないだけではなかった「当時の状態」

当時の彼は、

  • 人前では言葉が出ない

  • 強い緊張から、行動そのものが制限される

  • 一人で電車に乗ることができない

  • イライラを家庭の中で癇癪として表現するしかなかった

といった状態にありました。

さらに重要なのは、こうした特性が十分に理解されないまま時間が経過したことで、親子関係にも影響が出てしまっていたという点です。

「どうしてできないのか」

「なぜ普通にできないのか」

親ごさんのその問いが、責める意図はなくても、結果的に彼の不安を強め、自尊心を低下させ、親子の関係性をぎくしゃくさせてしまう時期がありました。

これは、場面緘黙の子どもに非常によく見られる二次的な問題です。

SMPTで最初に起きた変化は「親の関わり」

私が開発した【ミライ開花SMPT®(Selective Mutism Parent Training)】に取り組んでいただく中で、最初に変わったのは、子どもではなく、親御さんの関わり方でした。

  • 不安や緊張で話せないことを「問題行動」として扱わない

  • できないことを減らすのではなく、出来ることを探して安心を増やす

  • 「癇癪行動」の背景にある特性を、冷静に観察する

  • 不安のレベル表で「不安」を見える化し子どもを理解した

こうした視点を、親御さんが一つずつ身につけていきました。

その結果、親子のやり取りの中にあった緊張感が少しずつ和らぎ、関係性そのものが回復していったのです。

行動の改善は、関係性の改善の「あと」に起きた

関係性が安定してくると、彼の行動にも、目に見える変化が現れ始めました。

  • 不安があっても、挑戦を選べる場面が増えた

  • 一人で電車に乗れるようになった

  • 癇癪をおこしても、感情のコントロールができるまでの時間が短くなった

  • 自分の状態を、少しずつ言葉で振り返れるようになった

ここで重要なのは、無理に「話させた」わけではないという点です。

安心できる親子の関係性と、チャレンジにする際の適切な環境調整の中で、彼自身が小さな勇気でできることを「やってみよう」と行動を選んでいった結果でした。

体験発表で伝わってきた「本当の変化」

やや緊張した面持ちではありましたが、体験発表の中で彼が語ってくれたことは、

  • 話せなかった辛かった過去の体験を、ありのまま振り返れていること

  • 学校でも話せるようになった、活動に参加できるようになった喜びを、素直に語れること

  • 今の自分の状態を、客観的に見つめられていること

その姿から、自己理解と自己信頼が育っていることがはっきりと伝わってきました。

これは、場面緘黙支援において、「話せるようになる」以上に重要な変化です。


専門家として伝えたいこと

*こちらは【ミライ開花SMPT】の講座のひとコマ👆

この体験発表は、「特別な成功例」ではありません。ミライ開花SMPTの受講生さんの90%に起こる変化です

  • 特性を正しく理解すること

  • わが子のかんもくレベルを理解する
  • 不安のレベルを確認し少しの緊張でできるチャレンジを計画する
  • ポジティブ視点への転換に基づく親の声掛け

  • 安心できる親子関係性を土台にすること

これらを実践し守れば、子どもは自分のペースで、確実に変化していきます。親は、「何とかしなくては」という焦りの気持ちからくる、前のめりな行動から解放され「信じて待つ」行動へとシフトしていきました。

そしてその「おやごさん」の変化は、子どものチャレンジ行動 → 感情の安定化 → 自己信頼→人格形成へと、静かに広がっていきます。

【第4段階】関係性の中で社会性が育つ状態

  • 他者とのやり取りを、自分のペースで受け取れる

  • 話す・話さないに関わらず、関係の中にいられる

  • 自己理解と他者理解が深まっていく

この段階に入ると、「場面緘黙を治す」という視点そのものが、次第に意味を持たなくなっていきます。

目指すのは、話せるだけでなく、自分で選び、関係の中で生きていける子です。ここまでくると、「就職」が可能になります

ミライ開花SMPTの受講生さん、卒業生さんにもこれを叶えた子たちがいます。またいつかご紹介いたしますね。


ママたちの言葉が教えてくれたこと

お茶会の後半、ママたちから語られた言葉は、とても象徴的でした。

  • わが子のことを、意外とわかっていなかった

  • 緘黙だと気づけなかった自分への戸惑い

  • 孤立感、孤独感、一人で抱えてきた時間

  • 家族の理解や協力が得られなかった苦しさ

これらは、

「努力が足りなかったから」ではありません。正しい視点を、共有できる場がなかっただけなのです。

ただ、ご家族との認識の違いは辛いですよね。

「ママだけがかんもく状態のわが子を心配している」という構図は、私のクライアント様の中にも一定数おられます。

 

しかし、諦めずにママが実践することで子どもの状態が改善し、それに伴いパパもわが子への理解が深まって協力的になったという事例もあります

 


「一人じゃない」と知ることが、支援の出発点

お茶会の最後に残った言葉は、とてもシンプルでした。

「ここでつながれたことが、うれしい」

「一人じゃないと思えた」

「勇気をもらえた」

場面緘黙の支援は、ノウハウ以前に、孤立をほどくことから始まります。

親も、子も、安心して立ち止まり、考え、選び直せる場所があること。それが、未来を拓く本当の土台になります。


まとめ|今の段階を知ることが、最短の近道

場面緘黙の子どもは、一直線に変化していくわけではありません。

行きつ戻りつしながら、らせん階段のように少しずつ、自分のペースで進んでいきます。

だからこそ大切なのは、

  • 今、どの段階にいるのか

  • 何を増やすべきかではなく、何を守るべきか

  • 親自身が、一人で抱えていないか

この視点を持つことです。

「かんもく児の未来をひらくお茶会」は、その確認と親としての支援スタートの場として、かんもく児のママたちを応援します。

 

次回「かんもく児の未来を拓くお茶会」は、約2ヶ月後の開催を予定

もし今、この記事を読んでいただいているあなたが、「家以外では話せないわが子を前に、 この関わりで合っているのだろうか」

そんな迷いを抱えていらっしゃるなら。次回の「かんもく児の未来を拓くお茶会」にご参加されませんか?この【オンラインお茶会】は今後も、定期的に開催していく予定です。

お茶会では、

✔ 今のお子さんの状態を整理し

✔ 4つの段階のどこにいるのかを確認し

✔ 同じ立場の保護者と、安心してつながる

そんな時間を大切にしています。

一人で抱えず、まずは「今」を知るところから、始めてみませんか。

ご案内は【LINE公式】から先行してお届けしています。ぜひこの機会に、つながってくださいね。

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📘 書籍購入者向け特典

なお、拙著『わが子が家の外では話せないことに気づいたら読む本』をご購入くださった方へ。

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本を読んでその先は、「実際に整理し、つながる場」があります、ぜひお茶会もご活用ください。

直接相談したい方は【個別相談へ】下記のフォームからお申込み下さい

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「家では話すのに、どうして学校では話さないの」と、我が子のことが理解できずに困っている保護者様はいませんか?場面緘黙症は不安障害の一つで、話したいのに話せない状態です。我が子を理解することが支援の第一歩です。

  • 小さいころから、家以外で話すことが難しい

  • 家では元気でよくしゃべる

  • 小学校の中学年、高学年になって学校で話せなくなった

  • 聞かれたことに頷くことも非常にゆっくり

  • 緊張して体が固まる(動けなくなる)ことがある

上記の症状があるお子様のことで相談をご希望の方は

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・対象のお子様年齢(学年)

・かんもく状態の経緯を簡単に

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    この記事を書いた人

    中之園 はるな

    現在精神科クリニックにも在籍し、カウンセリング実績延べ2,000人。育てにくい子を持つママの子育てを応援をしています。特に近年、緊張が強くて家以外では上手くはなせない、場面緘黙(かんもく)症の子が増えています。これまで場面緘黙に悩む親子、延べ4000人以上支援してきました。正しい知識と、適切な支援があれば少しずつでも話せるようになります。

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