熊本の場面かんもく家族支援・メンタルケア

居場所があるということ

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今日は、場面緘黙の子が、比較的順調に回復した事例をご紹介します。
  *掲載の許可をいただいています

その子は、現在高校3年生

無事、進学先が決まりました

おめでとう‼✨✨🎉🎉

彼女と出会ったのは、1年2か月前です。

まず、お母さんが「かんもくペアトレ」を受講されました

講座が終わったのが、今年の3月、その後、個別のカウンセリングに移行しました。

どのようにして回復したのか?

仮にさなえちゃんとします。

お母さんが、緘黙ペアトレでサポートを始めてから、しばらくして

色々と小さな変化が起こりました。

  • あるお店で、店員さんに自ら声をかけて「困ったこと」を伝えることが出来た。
  • コンビニでも、一人で買い物ができた
  • コンビニで、「お弁当温めますか?」に「はい」と言えた(うなずきでなく)
  • 自分の進路について、自ら調べ手続きすることが出来た
  • 街に一人で、公共交通機関を使って出かけることが出来た

普通の子だったら、何だそんなこと・・・と思うでしょう。

でも、場面緘黙の子は、このような日常的な行動でも、非常に緊張してしまうのです。

是非このことは、一般の方に知っていただきたいポイントです。

お母さんが受講するまで、これらのことが難しい状態でした。

さなえちゃんは、高校2年の終わりごろまで、しっかりと普通に、話せる人は・・・

家族と、親しい友達1人ぐらいでした

カウンセリングに移行した当初

もちろんカウンセリングルームでも、私と話せません。

そこで、まずはラポール作り(信頼関係の構築)をします。

簡単なゲームをしたり、

絵しりとりをしたり、

筆談で会話したり・・・

こちらが、用意したことに対して受け身的に応答することはできました。

さなえちゃんの日頃の様子は、お母さんからの情報と、本人の筆談で得るしかありません。

筆談はできますが、オープンクエスチョン(感想など、自由回答)は固まってしまいます。

そんな時は・・・

選択肢を用意し、丸を付けてもらうか、

イエスかノーかで聞くと、該当のところに〇をつけてくれます。

こんな感じのカウンセリングをしばらく続けました。

ほんの少しづつ・・・カウンセリングの中でも変化が起きました

反応が早くなってきました

⇒これも大事な変化ですニコニコ

その後、彼女の友達が通っているサポート施設にSちゃんも通い始めました。

私もそこのスタッフのひとりですビックリマーク

すると、

そこはさなえちゃんの大切な居場所になりました。

始めは、友達と一緒でも、声が出ない日々が続きました

3,4か月たった頃から・・・徐々に

いつも一緒の、一番安心できる友達に対して、小さな声が出始めました。

それはだんだん、スタッフや別の子にも広がっていき・・・

私とも、話せるようになってきました。ニコニコ

今では、サポート施設に通ってくる、他の子達とも普通に、楽しそうに

おしゃべりしています。グッド!

それどころか・・・

いつも受け身で、

自分から人に関わることのなかったS ちゃんが

最近は、

自らスタッフのお手伝いを申し出てくれるようになりました。

自発性、積極性が出てきましたね。

夢に向かって、一歩踏み出しましたね。💖

彼女が話せるようになった、要因は何でしょうか?

臨床的な、私見になりますが・・・

  1. 話せるようになりたい強い意志があった
      *これは筆談で確認しています
  2. なりたい職業(夢)があり、合格に向けて発話モチベーションを後押しした
      *入試前のオープンキャンパスでも、普通に受け答えができていました。
  3. 母が、緘黙ペアトレで学び適切なサポートができるようになった
     *お母さんが、代弁したり彼女のするべきことを肩代わりしなくなり、スモールステップの挑戦をサポートした。
  4. 家、学校以外の第3の居場所が安心・安全な場所として有効に機能した。
     *新たな場所に慣れ、少しづつ話すことに自信がついてきた。

私は、何をしたかといいますと・・・
1~4全ての「黒子」として、そっと彼女のやる気、勇気を引き出す役目だったと思います。

本人の意思、夢、周囲のサポート、そして第3の居場所

このどれもが必要だったと思います。

なぜなら

  • 場面緘黙の当事者が一人で症状を克服することは難しい
     *困っていることを発信できないから
  • 当事者が所属する、複数の関係者の協力が必要
     *カウンセリングの中で喋れたとしても、これを他の場面に広げていくことが重要

と考えています、

さなえちゃんは、私が支援した緘黙児の中でも
目に見えて変化が大きかった子です。

でも・・・

まだ、「治った」と解釈することはできません。

場面緘黙の治療法は確立されておらず

日本では、特に研究者も支援者も少ない現状があります。

「治る」の定義が示されていないし、判断は難しいでしょう。

だだし、

以前より改善したとは言えます。


さなえちゃんと、サポート役のお母さん、本当に頑張りましたね。乙女のトキメキ乙女のトキメキ


これでもう安心か?

いいえ・・・


今後、環境が変わります。対人関係も変わります。
ストレス場面も、困ったことも当然出てきます。


これらの1つ1つに、柔軟に対応できるかどうか?


さなえちゃんの新たなステージが始まります。


これからもサポートしますよニコニコ

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