熊本の場面かんもく家族支援・メンタルケア

場面緘黙症についておもうこと②

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カウンセラーとして
クライアントの良い変化を目の当たりにすることは、本当に嬉しいことです。

昨日は、そんな出来事を1日に2回も体験しました。クライアント様の許可をいただいていますので、少しお話しますね。

事例①場面緘黙のAちゃん
 10代の女の子です。昨年、お母さんは緘黙ペアトレを受講者され熱心に学ばれました。終了後に個別カウンセリングに移行したクライアントさんです。 

 初めて会ったとき、Aちゃんはカチカチに緊張しているのがわかりました。母子同室で、まずはリラックスするために非言語でできる簡単なゲームなどをしました。 イエス・ノーで答えられるクローズドクエスチョンには、時々「はい」とか、首を横にる動作で私の質問に答えてくれました。しかし自分の気持ちとか、感想とか、状況など自由な発言(オープンクエスチョン)は言葉では答えられないので その後は筆談で会話です。

 次のセッションでは初めに少し広い部屋で、お母さんと10分程度「場に慣れる」ために遊んでもらいました。Aちゃんにも、なぜこれが必要なのかということも説明しました。
10分後、私が部屋に入りセッションを始めました。セッションの最後にはホームワーク(宿題)を出しました。

 これを繰り返してきたのですが、昨日は5回目のセッションでした。今回も言葉でやり取りができました(実は、前回4回目で始めて「言葉でのやり取り」が可能になりました。)。とても驚きましたが、うれしい体験でした。前回話せたからと言って、次回も話せるとは限らないのです。
昨日は、いつのものように最初はアイスブレイクでAちゃん、お母さん、私でちょっとしたゲームで遊びます。
その後、ホームワークの確認。私:「Aちゃん、宿題やってきた?見せてくれる?」 Aちゃん:恥ずかしそうにしながらも、表情は穏やかで微笑んでいます。そっとファイルから宿題用紙を取り出しますが、なかなか真っすぐに手を伸ばせません(こういうところも緊張が表れています)。なので、私のほうから手を伸ばして宿題を迎えに行くと、手渡してくれました。
 3つの宿題を見事にやってきてくれました(その内容は秘密です)。私は感動して、「すごいね~。とっても上手。」「ありがとう」と心から称賛しました。Aちゃんはにこにこしています。その後も、私の質問に対して状況などを言葉で答えることができました。お母さんもとても嬉しそうです。

このように、Aちゃんは、カウンセリングの4回目、5回目と連続して私と言葉でやり取りできました。しかし、当初私は難しい事例だな~と感じていました。

なぜなら、それまでの数回は緘動状態になることがあったからです。
セッションの初めから終わりまで、話しかけてもうなずくこともなく固まっていますし、時折涙ぐんでいました。とても辛そうで、この先セッションを続けていけるのか、私も心配になっていました。

では、なぜ劇的ともいえる展開が起こったのでしょうか?

場面緘黙症の子どもたち(大人の人も)は、それぞれ状態が違います。状態というのは、どんな人とどれくらい話せて、どんな場所でどれくらい話せるかなど一様ではないなのです。

話せる人
話せる場所
話せる状況

これが違うし、不安の大小の個人差もあります。なので、Aちゃんの場合はこうだったとしか言えない部分もあります。

しかし、仮定を立てるとすれば以下のことが言えるかもしれません。
1、Aちゃんの中で、話したい意欲が高まっていた。
2、保護者が緘黙について知識を得て、Aちゃんのサポートをする体制ができた。
3、学校関係者やSSWの協力が得られた。医療機関のカウンセリングだけでなく、多職種連携の準備が整った。

これらは、場面緘黙の改善のために基本的な条件ではないかと、私は考えています。

事例②場面緘黙のBくん
 10代の男子です。彼は、今日初めて普通に聞こえる声で、スムーズに会話ができました。それまでも、一応なんとか会話はできていましたが、話し出すまでに時間がかかりました。すごく小さな声で、こちらが集中していないと聞き逃しそうな声でした。彼のお母さんも緘黙ペアトレに参加されました。Aちゃん同様、その後個別カウンセリングをしています。


彼にいったい何が起こったのでしょう。


それはまたいつか書きますね。

1日に2人の緘黙児さんと話ができたなんて・・カウンセラーとしては嬉しい1日となりました。

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