熊本かんもく親の会
場面緘黙のご本人も辛いでしょうが、お母さんたちも本当に苦悩しておられるということを感じます。
私が勤務するクリニックでは、2017年から緘黙ペアレントトレーニング(以下緘黙ペアトレ)を実施しています。つい先日1月末に、第4期の緘黙ペアトレの8回目が終了しました。プログラムとしては一応の終了となります。 残すは、3月のフォローアップ講座9回目のみとなりました。
第4期は、 2019年10月からのスタートでした(2020年3月で終了)。 半年間の学びは、毎回思うのですが、長いようであっという間です。初めは不安いっぱいだったお母さんたちが、プログラムを進めていく中で元気になり、前向きに子どもをサポートしようと頑張っていかれる姿は、ファシリーテータとして、毎回こころを動かされます。
すこし、その様子をお伝えしますね。
今回の参加者は、7名の緘黙児を持つお母さんです。どのお母さんもとても熱心に学ばれていました。
我が子が、社会的場面でしゃべらないのは「場面緘黙症」のためだった、ということを初めて知った時のお母さんたちの驚き、周囲に同じ様な子どもがいないため、相談してもわかってもらえない。どうすればいいかわからない。そのような孤独と不安の中におられたお母さんたちのお話をしっかりと聞かせていただきました。
プログラムの中では、場面緘黙の医学的定義や、不安のレベルについてお伝えしました。それぞれのお子様の今の状態を把握し、お母さんたち保護者のかかわり方を見つめ直します。
毎回、セッションの初めに、メンバー同士で「子どものいいところ」を伝え合います。そのことは、子どもを「困った子」というネガティブな視点から、緘黙だけど「うちの子にはこんな良いところがある」という、ポジティブな視点へお母さんたちの意識を変えることに貢献し、親子関係の改善に役立ちました。
後半のセッションでは、いよいよ場面緘黙の克服のためのチャレンジが始まります。(段階的エクスポージャーといいます)
もちろん、いきなり不安の高い場面では行いません。その子の不安の状態をあらかじめモニターし、不安の小さい場面からスモールステップで行います。そのときお母さんは、その子の勇気をそっと支えてあげてください。
今回の参加者7名のお母さんの頑張りも、素晴らしいものでした。
実際、チャレンジを頑張るのは緘黙児ですが、そのためのサポートに真摯に取り組まれたという意味です。
お母さんたちが、ともに相談し分かち合える仲間ができたことも、お母さんたちのエンパワメントに繋がっています。
メンバーに会えなくなるし、3月で終了するのが、少し寂しいと言ってくださる参加者もいます。
そこで、親の会を立ち上げました。今後も繋がっていきましょう。
第4期の参加者の声はこちら
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