熊本の場面かんもく家族支援・メンタルケア

勇気の貯金箱

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今日は、私が実践している支援についてお話しますね。
その中で、大切なキーワードが「勇気」です。

でも貯金箱って何?と思いますよね。よかったら最後まで読んでください😊

場面緘黙の当事者は、過度の不安や緊張のために「話したいのに話せない状態」であることは以前説明しました。

支援の初めの一歩は、

◆安心できる人と
◆安心できる場所で
◆安心できる活動(行動)から

始めます。

具体的に言うと
◆保護者と
◆家で
◆家族以外の他者とのコミュニケーション

を「練習」することです。

おそらくこれが一番、当事者にとって不安や緊張が最も小さい「練習」のはずです。
なぜなら、家では普通に喋ることが出来るからです。

いわゆるスモールステップで取り組むやり方です。これに関連する情報は、場面緘黙関連の書籍によく出てきます。

な~んだ、と思うでしょうか? めっちゃ簡単!と思いますか?

答えはNOです。

当事者にとって、家で家族以外の人と喋ることは

  • 私たちが想像する以上に難しい
  • 不安、緊張が高まる
  • 勇気のいる行動なのです。

*緘黙ペアレントトレーニングで、お母様に宿題として実践していただいて分かりました。

一例を挙げると

場面緘黙のAちゃん(小3)は、お母さんから「話す練習」をすることが大切という話を聞きました。
*お母さんはなぜこの練習が必要なのかをしっかり説明し本人のやる気を確認してから行います。
*怖いけどやってみたいと思う気持ちが大事です。

Aちゃんはお母さんと話し合い、めったに合わない祖父母と話す練習をすることにしました。
*事前に不安の度合いを調べておきます。とても怖い(5)~とても安心(1)の範囲で祖父母と電話で話す不安度は?
*不安度2~3レベルの行動ならチャレンジしましょう。実際Aちゃんが自分で自覚する不安度は「2」でした。

宿題のチャレンジ期間は2週間ですが、始めの1週間はお試し期間(観察期間)です。
*ご家庭によって、祖父母に電話する頻度はそれぞれです。

ここでは「話す練習」として祖父母にも協力を依頼しますが週に何回電話するかについては
お互いに負担にならない範囲で設定します。1週間やってみて2週目の目標回数を決めます。

実際にやってみてどうだったかというと

Aちゃんは、祖母と話すことの実際の不安レベルは「3」でした。思った以上にドキドキしました。
「宿題」が実践できたのは初めの1週間が1回、2週間目が2回、計3回でした。1回増えましたね

お母さんは、Aちゃんの勇気を称え「1週目より1回増えたね。よく頑張ったね」と声をかけました。

出来たことも大事ですが、たとえダメだったとしても、チャレンジしたことを褒めてあげてください。

勇気がいるからです。

この宿題の大切なポイント!

  • お母さんは子どもの実態を知ることが出来た。
    「祖母と電話で話すことが、こんなに不安や緊張を感じる行動なのだと実感しました」
  • Aちゃんは、自分が想定したよりもドキドキしたのに、勇気を出して、2週目は+1の「話す練習」を実践した。
  • お母さんが認めてくれることでAちゃんにとって「話すことは嬉しい体験」になる。
  • この体験が次の勇気の原動力になる。

場面緘黙ではない人にとっては普通に出来ることでも、緘黙当事者にとってはとても「勇気」のいる行動なのです。

Aちゃん、勇気を出してよく頑張りました‼ (実例です)😊。

勇気の貯金箱とは

Aちゃんの様に

◆安心できる人と◆安心できる場(家)から◆緘黙児にとって勇気のチャレンジを重ねていくと、

その体験は、一つずつ心の「勇気の貯金箱」に貯まっていきます。

そして、勇気を出して行動すればするほど心の貯金箱に「勇気」は増えていきます。

最初は大きな勇気が必要だった行動も、やがてほんの少しの勇気で出来るようになります。

小さな一歩でいいので、止まらずに実践していきましょう。

周囲のひとは、緘黙当事者の不安の状態をアセスメントして、その勇気の実践を応援してあげたいものです。

でも、自分や子どもの状態を客観視することは、一人では難しいものです。

場面緘黙に詳しい支援者と一緒に取り組むことをお勧めします。

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