思春期+場面緘黙のお子さまを育てる親御さまへ。気を付けたい3つのポイントを徹底解説!
思春期のかんもく児商業出版【子育てあるある】こんな時どうする?お知らせブログピックアップ
目次
― 発達の視点から考える“揺れ動く時期”との向き合い方 ―
子どもが思春期を迎えるとき、それは「子ども」から「大人」への入り口に立ったことを意味します。
この時期の子どもたちは、身体的にも心理的にも急激な変化の中にあり、戸惑いや混乱を抱えながら日々を過ごしています。
そして、もしその子に「場面緘黙」という特性がある場合、心の葛藤はより複雑で深いものになります。
思春期とは何か ― ホルモンと脳の変化がもたらす“心の揺れ”
思春期には、性ホルモン(エストロゲン・テストステロン)の分泌が盛んになり、身体は急速に成長していきます。
これが、いわゆる第二次性徴と呼ばれる変化です。
一方で、脳内では感情をつかさどる「扁桃体」が非常に敏感になる一方、思考や自己抑制を担う「前頭前野」はまだ未成熟な段階にあります。
そのため、この時期の子どもは感情が大きく揺れ動き、
「なんとなくイライラする」「急に落ち込む」「反発したくなる」など、アンバランスな状態に陥りやすくなります。
これは、まさに発達の途中にあるがゆえの自然な反応なのです。
“見られること”への敏感さと、場面緘黙
思春期の子どもは、「人にどう思われているか」「自分がどう見られているか」を強く意識します。
この自己意識の高まりは、場面緘黙のある子どもにとって大きな壁になります。
「声を出す=注目される=評価される(あるいは失敗するかもしれない)」という強い不安が、
緘黙の状態を一層強化してしまうことがあるのです。
親に求められる“バランスある関わり方”
このような発達的背景を踏まえた上で、親としてどのような関わり方が望ましいのでしょうか。
大切なのは、「ただ見守る」「ただ厳しくする」という極端な対応ではなく、
**共感と境界の両方を備えた“バランスある関わり”**です。
1.感情の波に振り回されすぎないこと
思春期特有の情緒不安定さに対し、親が一喜一憂しすぎると、家庭全体が不安定になります。
「今は、心と脳が育っている途中なんだ」と理解し、冷静に受け止める姿勢が求められます。
2.思春期の特性を理解し、共感をもつこと
「話せない」「動けない」状態の背景には、本人なりの葛藤や緊張が存在しています。
「頑張っていること、ちゃんと伝わっているよ」と伝えるだけで、子どもは深く安心します。
3.毅然とした態度で“境界”を示すこと
共感や理解は大切ですが、だからといって何でも許容してよいわけではありません。
自傷行為、他害行為、また社会的なルールを逸脱するような言動については、
明確な線引きを行い、毅然とした態度で対応することが必要です。
子どもは、止めてくれる大人がいることで、安心を得ることもあります。
「ゆっくり育つ力」を待てる大人へ
場面緘黙のお子さまを思春期に支えるということは、
目に見える成果だけでなく、その子の「育ち」を信じる力を、親自身が試される時間でもあります。
焦らず、押しすぎず、信じて待つ。
けれども、いざというときは、はっきりと境界(ダメなものはダメ)を伝える。
この両輪が、思春期の子どもとの信頼関係を支える土台になります。
子どもは、時間をかけて、自分の中にある力をゆっくりと育てていく存在です。
その力が花ひらく時を信じて、大人は「揺れに巻き込まれず、けれど寄り添っている」存在であり続けたいものです。
🖋 著者紹介
中之園 はるな(公認心理師)
公的機関での心理相談員を経て、精神科クリニック勤務。現在は場面緘黙症の専門家として活動。
これまでに約4,000組の親子と関わり、9割以上のお子さまにポジティブな変化を確認。
2013年から支援歴12年。親子の関係を育て直しながら、お子さま自身の「話す力」を引き出す支援に定評がある。
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