熊本の場面かんもく家族支援・メンタルケア

プレイセラピー7年「変化ゼロ」。小4・場面かんもく児が8ヶ月で変化したわけ。

こんにちは。中之園はるなです

かんもく改善メソッド【ミライ開花SMPT】を「受講して本当に良かった」

そう語ってくださったお母さまは、小学4年生の娘さんと7年間、病院のプレイセラピーに通い続けても変化が見られず、不登校などの困りごとも増える一方——という現実に向き合ってこられました。

本記事では“なぜ変わらなかったのか”、そして“なぜ8ヶ月で前に進めたのか”を、専門家の視点で読み解きます。キーワードは条件づくり段階づくり、そして親の関わりの再設計です。

Before:挑戦そのものを避ける日々

お母さまはこう振り返ります。

「娘が『話すのなんて無理だよ』と言うので、その意思を尊重してきました。Zoomの講座も『絶対に出ない』と…。」

「病院からのアドバイスは『寄り添ってください』。でも困りごとは増えるばかりで、親子の不安は大きくなる一方でした。」

以前の親子の会話はこうでした
母「無理なら、やめておこうか」

娘「……うん」

“優しさ”から始まった回避の許可は、結果的に挑戦の機会そのものを減らすことにつながってしまいました。

 

なぜ「寄り添うだけ」では変化が起きにくいのか、専門家視点で読み解きます

 

 

 

1)回避が強化される学習サイクル

不安場面を避けると一時的にホッとします。この“安心”が回避行動を強化し、次の挑戦がますます難しくなる——行動分析でいう負の強化が働きます。

「やめておこう」は、短期の平穏を与える一方、長期の前進を遠ざけます。

2)“人・場所・活動”に依存する発話

場面かんもくは、人・場所・活動という文脈で発話が大きく左右されます。

プレイセラピーのように安全な個室での自由遊びは、家庭内の安心には似ていますが、学校やオンライン集団など目標場面への架け橋が弱いと、一般化が進みません。

3)目標が「気持ちの支え」に留まり、行動の設計が不十分

「寄り添い」は必要条件ですが、“何を・どの順で・どの条件ならできるか”の行動設計が欠けると、前進の指標が曖昧になり、振り返りも難しくなります。

4)親の関わりが“救済者”に固定

わが子が困りそうな前兆で先回りし、代弁・回避を許可し続けると、子の自己効力感が育ちにくくなります。親の優しさが、意図せず回避ループの支えになってしまうのです。

自己効力感とは

やればできる自分であるという自覚

人の役に立つことが出来る自分であるという自覚

を指します

チャレンジして、成功し、他者からの賞賛と感謝される体験が乏しいと「自己効力感」は育ちにくくなります。

 

転機:ミライ開花SMPTが最初に変えたこと

講座で私たちが最初に行うのは、“無理に話させる”のではなく、”非言語でも行動できる条件”を一緒に探すこと

お母さまは発想をこう切り替えられました。

母「ZOOMに映らなくていい。話さなくていい。やりたくなかったらやらなくていいよ。」「ただ、画面が見える位置にいて、先生の講義を聴いたり、質問にはホワイトボードに筆談する、とかはして欲しいな」

娘「……それなら参加してもいい」

1)条件づくり:安全地帯と撤退ルール

  • カメラオフ/ミュート/チャット又はホワイトボードで筆談のみ可など、“できる条件”を可視化

  • 不安が上がったらいつでも下がれる撤退ルールを事前合意

    「やる/やらない」の二択から、「この条件ならやれる」へ。ここで主導権が本人に戻ることが重要です。

2)段階づくり:微細な“成功”を積み上げる

  • 目線合わせ → うなずき → 指さし → チャット (筆談)→ ささやき → 母に対して単語発話…

    行動をミリ単位で分解し、成功率70〜80%のステップを設計。

    小さな“できた”が連続すると、不安曲線が自然に下がります。

3)親を“同盟者”に位置づける

  • 代弁の一時停止、ヒントのフェードアウト記録と振り返りの習慣化

  • 「先回りで守る」から「条件を整えるコーチ」へ役割転換

    親の関わりが変わると、家庭内の強化子(褒め・安心・期待のかけ方)が前進を後押しするものに変わります。

4)文脈の近似化と一般化設計

オンライン(Zoom)は刺激コントロールがしやすい場です。

参加人数・発表順・発言モードを調整し、学校等の目標場面に近い構造を段階的に再現。

さらに「人・場所・活動」の三軸で話せるマップを作り、一般化の順路を描きます。

5)受容的な集団が“安全”を作る

娘さんのASD特性による“空気が読めない発言”も、このクラスメンバー全体で受け止め失敗を罰しない。むしろ「上手く行かなくてもそれは失敗ではない。少し工夫が要ることが分かっただけ」という、この受け止めマインドが再挑戦のエネルギーになります(ピアモデリング/ノーマライゼーション)。


After:8ヶ月で何が変わったのか

  • 娘が「絶対に出ない」と言っていたZoomのセッションに参加できた

  • ジブン進化コースを途中離脱なく完走できた

  • 特性由来の発言も仲間に受容される体験を重ね、安心の総量が増加した

  • 親にも成功体験と自己効力感が積み上がり、家庭の空気が軽くなった

母「最後まで参加できたね。良かったね」

娘「うん。私でもできたとおもう

母「親の対応次第で、こんなにも変わるんだね」


次の一歩:興味を入口に“社会とつながる”

娘さんの興味関心のキーワードは動物

お母さまは、積極的に夏休みにかけて、

動物イベントやプールへのお出かけ、祖父母宅へのお泊りや、従妹たちとも初めてのお泊りに出かけるなど、娘さんは母の提案をびっくりするほど素直にに受け入れるようになり、行動のレパートリーが増えました

興味ベースの接点を探し、家族から親戚→「会いたい人」「過ごせる場所」を増やしていきました。

ここでも条件づくり(誰と/どこで/どの活動から)微調整振り返りのサイクルを回します。


まとめ:寄り添い“だけ”から、条件×段階×親の伴走へ

  • 「寄り添うこと」も必要だが、行動の設計がなければ回避ループが強化されやすい

  • 条件づくり(安全地帯・撤退ルール・“できる”の可視化)が最初の一歩を生む

  • 段階づくり(ミリ単位の行動分解と成功率設計)が自己効力感を育てる

  • 親の役割転換(救済→コーチ)が家庭の強化子を変える

  • 文脈の近似化と一般化で、目標場面に橋をかける

  • 受容的な集団が再挑戦の文化をつくる

  •  

お母さんは言います「受講して本当に良かった」。

7年間も変化がなかった親子に、8ヶ月で前進が生まれたのは、ではありません。

【ミライ開花SMPT】を受講して取り組んだ成果だと思います

条件を整え、段階を刻み、親子で成功体験を重ねた——その必然の結果です。

あなたのご家庭でも、同じプロセスが始められます。

まずはお子様の“行動できる条件”を一緒に洗い出してみましょう。

必要であれば、初回の話せるマップ小さなステップ設計を、私がお手伝い(伴走)します。

わが子が家の外では話せないことに気づいたら読む本

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この記事を書いた人

中之園 はるな

現在精神科クリニックにも在籍し、カウンセリング実績延べ2,000人。育てにくい子を持つママの子育てを応援をしています。特に近年、緊張が強くて家以外では上手くはなせない、場面緘黙(かんもく)症の子が増えています。これまで場面緘黙に悩む親子、延べ4000人以上支援してきました。正しい知識と、適切な支援があれば少しずつでも話せるようになります。

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