認知行動療法とは
心理学に関心のある方なら、よく聞くワードではないでしょうか。
私は心理師として仕事を始めたころ、伊藤恵美先生の書籍&DVDで認知行動療法を勉強しました。わかりやすくて使いやすいワークシートも付いていました。何度も書籍&DVDを観て勉強し臨床に活用しました。
クライアント様のお話を伺いながら、
・ 関わる人や場所が違っても、いつも同じ様なパターンで人間関係につまずく
・もしくは身近な人とずっと昔から解決しない問題を抱えていて、トラブルはいつも同じパターンで終了する。
そんな展開になってきたら認知行動療法をお勧めすることがあります。
認知行動療法において、大切なキーワードは、
「環境」と「認知・感情・行動」と「コーピング(対処)」です。
◆「環境」=自分の外側。
様々な出来事のことです。本来これは良いとか悪いとかはないニュートラルなものです。
◆「認知・感情・行動」=これはまとめて自分の側です。
・「認知」=物事の受け止め方です。良いとか悪いとか・・ネガティブに受けとめたり、ホジティブに受けとめたり。 ある出来事をどう受け止めるかは、その人の自由で十人十色です。
・「感情」=嬉しい、ハッピー、悲しい、つらい、落ち込む、怒り、など喜怒哀楽の感情です。ある環境(出来事)をネガティブに受け止める(認知)と、感情もつらい、悲しい、怒りなどが起こりますよね。反対に、同じ出来事をポジティブに受けとめる人もいる。その時、その人ははどんな感情を抱くのでしょうか。
感情ってたくさんありますよね。わかりやすく見える感情(喜び、怒りなど)ばかりではなく、外からは見えない複雑で微妙な感情もあります。不安、切ない、やるせない、顔で笑って心で泣いてなどなど・・
・「行動」=文字通りあなたの行動です。
ある環境をどう認知して、どんな感情が湧き、その時どう行動したかということです。
◆「コーピング」=対処のことです。
ある出来事が起こったとき、もしくはストレスを感じる出来事が起こったとき、いつもどのように対処しているかです。
コーピングにも個性がでます。いつも同じような、その人にとって馴染みのあるコーピングばかりしているかもしれません。
「環境」(自分の外)と「認知」「感情」「行動」(自分の中)とは相互作用しています。
例えば、架空の具体例を挙げると
中学生のYちゃんには、仲良しグループが5人います。
ある日の昼休み、教室で自分以外の4人が何か話しているところにYちゃんが入ってきました。
その時、4人はYちゃんの顔を見て急にさっと散らばって行きました。👈これが環境(出来事)
その時、Yちゃんの頭の中にはどんな考えが浮かぶでしょうか👈「認知」一瞬のうちにあたまをサッとよぎる考えを自動思考といいます。
「え?なに?みんなで何話していたの!私の悪口じゃないの?」👈という認知が起こったとします(ほぼ自動思考)。
すると、Yちゃんの心の中は・・ もやもや・・不安・・悲しい・・寂しい・・怒り・・落胆👈という感情が起こるかもしれません。
そのあとYちゃんはどうするのでしょう。
みんなに何を話していたのか聞きたいけど聞けない・・だから誰にも話しかけずに自分の席に着いた。👈行動
ではコーピングは?
この場合、最後の行動が一つのコーピングにもなっています。もしかすると、Yちゃんのいつものコーピングかもしれません。
でも、これではストレスが溜まってしまいそうですね。どうすればいいのでしょう?
ある出来事に出会うと、自分側はほぼ区別ができないほど同時に起こります。だから、いつも何となく同じようなコーピングになりがちと言われています。
そこで、認知行動療法では、まず自分の中で何が起こっているのかをワークシートに書いて外に出す(外在化)ことで 自分を客観視することから始めます。そして、自分の認知の癖やコーピングのパターンに気づくことで、新たなコーピングを生み出していきます。
カウンセラーは、それをお手伝いします。
今回は、認知行動療法の初めの一歩について、簡単に説明しました。
この段階を経て、もっといろいろな技法を使っていきます。
自分の認知の癖や、コーピングのパターンに気が付くと、「あ~そうだったんだ」と、自分のしんどさはこんなことろにあったのかも・・と 納得される方もいらっしゃいます。 自分のことって見えないものですよね。
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近年、多様化する価値観のなかで、心の問題も多様化、複雑化しています。うつ、社交不安などに加えて発達障害、ゲーム依存、コミュニケーションについての相談が増えています。精神科クリニックにも在籍し子どもから大人まで、カウンセリング延べ2,000人。クライアントの悩みに寄り添い、適切な心理療法を用いて問題解決へ向けてサポートします。
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