親が思う以上に成長 ―「自分で選び、行動する力」を育てる場面緘黙改善メソッド ―
【SMPT】受講生#場面緘黙児話せるようになりましたお知らせかんもく親子コーチングメディア掲載場面緘黙についておもうこと②

人格の土台となる力が育つ【ミライ開花SMPT®】
「家では話せるのに、園や学校では声が出ない」。
場面緘黙の子どもを前にすると、保護者の多くがまず「どうすれば話せるようになるのか」と考えます。もちろん、話せるようになることは大切です。
ただ同時に、臨床の現場で繰り返し見えてくるのは、もう一つの事実です。
それは、場面緘黙の子どもが回復していく過程で育っているのは「発話」だけではなく、むしろそれと同時並行で、人格の土台となる力が育っているということ。
具体的には、子どもが「回避」ではなく、自分で選び、自分で決めて行動する方向へ変化していきます。
このページでは、メンタルケア心安の提供する、場面緘黙改善メソッドが大切にしている「改善プロセス」を、専門的なロジックを交えながら、一般の方にも読みやすい形で整理します。
あわせて、実際に講座に参加した5歳かんもく女児のお母さんの感想を、改善プロセスの“実例”として紹介します。
目次
改善プロセスの全体像

―「安心→選択→行動→承認→振り返り」の循環が、発話と成長を支える
本メソッドでは、改善が偶然に起こるものだとは考えません。
子どもが話せるようになるとともに、親が思う以上に成長していく背景には、共通した“流れ”があります。それが、次の循環です。
②選択(主導権の回復)
③行動(小さな挑戦)
④承認(結果ではなく過程の承認)
⑤振り返り(自己認識と自己効力感)
ミライ開花SMPT®】のプログラムを実践する中で、この循環が回り始めると、子どもは「話せる/話せない」だけで測れない変化を起こし始めます。言い換えると、改善の鍵は発話の技術ではなく、不安があっても自分で選び、行動できる状態をつくることにあります。
STEP1 安心の確保

―話せるようになる“とともに”、まず「言葉以外の意思表示ができる」土台をつくる
場面緘黙の子どもは、意思が弱いから話せないわけではありません。多くの場合、本人は話したい気持ちを持っています。それでも声が出ないのは、社会的場面での不安が強く、身体が固まったり、失敗や評価を過剰に予測したりして、発話が“危険”として処理されてしまうからです。
この状態で「話してごらん」「大きい声で」など、発話そのものに焦点を当てると、子どもは“努力”以前に“防衛反応”を強めやすくなります。これが、よく言われる「無理に話させようとしてはいけない」という本当の意味です。
しかし、だからと言って、話さなくてもよい安心感だけを与える以下のような配慮は逆効果です。
例えば
・話す場面を避けて良いような配慮⇒発言の場面でその子の順番を飛ばす。
・話すべき場面で、隣の子に「代弁」してもらう
これを続けていると、かんもく児は「話さなくても良い」「ずっと無言でいても困らない」という学習をしてしまいます。
想像してみて下さい。永遠にこのような支援が出来るでしょうか?
社会人になったとき、自力でコミュニケーションが取れるでしょうか?
そこで本メソッドが最初に設計するのは、非言語の意思表示です。これは、言葉以外で本人が伝える行為です。これさえも練習が必要なのです。不安のレベルを確認しながら、段階的に「言葉」を使うように移行していきます。
メソッドのトレーニングが進んで、ある程度話せるようになっても、話してもいいし、話さなくてもいいという安心を設計しています。
具体的には、声量や流暢さ、完璧さで評価しません。途中で止まってもいい。内容が変わってもいい。今は見学でもいい。こうした「逃げ道のある構造」は、甘やかしではなく、緊張を安全に下げ、参加を可能にするための臨床的な条件設定です。
実例(5歳女児・母)
「2歳の弟が講座中も同じ部屋にいたため『ママは途中で抜けるかもしれないけど、先生のお話をよく聞いて自分で頑張ってみてね』と事前に伝えた上での受講でした。…自分で取り組むことが出来ていたように思います。」
このエピソードは重要です。保護者が常に横にいなくても、5歳のかんもく児がその場に留まり、自分でオンラインセッションに取り組めたこと。講師の進行に沿って質問に答える場面や、子ども同士で会話する場面もあったのです。これを一人でやり切れたのは、セッションの場が「安全」になっているからこそ起きる現象です。
安心が先にできると、子どもは保護者に“守られ”た環境でなくても、“自分でやってみる余白”を持てます。改善の第一歩は、ここから始まります。
STEP2 選択の回復

―「どうするか」を子どもが決める:自己決定の芽が、発話にも挑戦にもつながる
本メソッドの革新性の中心は、発話を直接の目標に据えるのではなく、選択の主導権を子どもに戻すことにあります。
場面緘黙では、子どもは「やる/やらない」の選択すら奪われがちです。周囲が心配すればするほど、先回りした配慮や誘導が増え、結果として子どもは「自分で決める経験」を失っていきます。すると不安がある場面では、回避が“最も安全で確実な選択”になります。
そこで講座では、子どもが選べる構造を意図的に組み込みます。
内容を変えていい。量を減らしていい。今日はここまでにしていい。これは“甘えの許可”ではなく、自己決定理論(自律性・有能感・関係性)の観点から見ても、内発的動機づけを保ち、不安を抱えたまま関与するための条件になります。
実例(5歳女児・母)
「自分の強みをエピソードを交えて発表する時間では、事前に準備をしていた内容から直前でやっぱり恥ずかしいから変える!と一部違う内容で発表していました。…自分の言葉で発表をしていたので自分の気持ちにも添った臨機応変な対応が出来ていたのかな」
直前で内容を変える。これを「準備不足」と見るか、「成長」と見るかで支援は変わります。臨床的には、これは成長です。なぜなら、子どもは“恥ずかしい”という内的状態をモニターし、今の自分が出せる表現に自分で調整し直しているからです。場面緘黙の改善において、この「自己調整」は極めて重要です。発話は、その人の心身が“安全だ”と判断した時に出やすくなります。自己調整が起き始めた時、回復はすでに動き出しています。
STEP3 小さな行動の実行

―不安が消えてからではなく、不安があるまま「やってみる」を選べるようになる
改善は「不安がゼロになったら話せるようになる」という0か100かではありません。実際には、不安は残ったままでも、行動は少しずつ変化します。
本メソッドが大切にするのは、子どもにとって“ちょうどよい難しさ”の範囲で、行動を選べるように設計することです。声が小さくてもいい。短くてもいい。表情やうなずきでも参加できる。そうした段階設定があると、子どもは回避以外の選択肢を持てます。
実例(5歳女児・母)
「宿題の発表では、全体的に恥ずかしさも入り緊張感も強いのか、しりとりやクイズをする時よりも声は小さくなっていましたが、本人なりに頑張って発表をしていたと思います。」
ここで注目すべきは「声が小さい」という結果ではなく、緊張しながらも発表を選んだという行動選択です。場面緘黙の改善では、“話せたかどうか”だけで前進を判定すると、子どもは自分の努力が無視されたように感じやすくなります。すると挑戦は続きません。だからこそ、私たちは「行動の一歩」を正確に捉え、次の選択へつなげます。
STEP4 プロセス承認

― 結果ではなく「過程」を言語化し合うことで、他者を見る力と関係性が育つ
本メソッドでは、
上手に話せたか、声が大きかったかといった「結果」ではなく、その人がどのような気持ちで、どのように取り組んでいたかという
行動のプロセスに目を向け、言葉にすることを大切にしています。
この「プロセス承認」は、単に自己肯定感を高めるための声かけではありません。
子どもが、自分以外の他者をよく見て、理解し、尊重する視点を育てるための重要な働きを持っています。
相手の良いところを見つけるという体験の意味
講座の中では、
「自分の良いところ」だけでなく、
お互いの良いところを言葉にして伝え合う時間を設けています。
このとき子どもに起きているのは、
-
相手の様子を注意深く観察する
-
表面的な結果ではなく、内側の状態に目を向ける
-
その人なりの努力や頑張りを価値づける
という、他者理解と共感的な認知のプロセスです。
実例(5歳女児)
「お互いのいいところの発表では、
まず『Nちゃんいいところってどこだろう?』と問いかけた時に『発表の時、ちょっと緊張していても頑張っているところ』と娘自身が決めました。」
この場面で5才児さんが行っているのは、
相手の姿をよく見て、その子の内面の努力を捉え、言葉にしているのです。
これは、場面緘黙の子どもにとって非常に大きな意味を持ちます。
なぜなら、
不安が強い子どもは、どうしても
「自分がどう見られているか」「自分はうまくできているか」
といった自己への過剰な注意に意識が向きやすいからです。
その中で、
-
他者に注意を向け
-
相手の良さを見つけ
-
安心して言葉にする
という体験は、社会的場面における視野の拡大をもたらします。
「数を増やさない」という選択が示す、尊重の芽生え
さらに重要なのは、その後のやりとりです。
「私がもう一つか二つ増やしてみる?と提案しましたが、娘は『自分で決めた1つにする』と言いました。」
ここで娘さんが守ろうとしたのは、「たくさん言うこと」ではなく、自分が本当にそうだと思った評価を、誠実に伝えることです。
これは、
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母親の提案をうのみにしない
-
形だけの評価をしない
-
自分の感じた価値を大切にする
という、対人関係における誠実さの芽生えでもあります。
なぜこのプロセスが、発話の安定につながるのか
他者をよく見て、その人の努力や内面を言葉にできるようになると、子どもは社会的場面を「評価される怖い場所」から「人と関わり合う場所」へと捉え直し始めます。
その結果、
-
自分だけが見られている感覚が弱まり
-
不安が過度に高まるのを防ぎ
-
発話や行動への心理的負荷が下がる
という変化が起こります。
つまり、このプロセス承認は
自己理解のためだけのものではなく、他者理解を通して、社会的場面そのものを安全にしていく介入なのです。
STEP5 振り返りと自己認識

―成長を「自分の言葉」で確かめる:記録が未来の自己信頼をつくる
最後のプロセスは、振り返りです。改善は“今の成功”だけで作られません。過去の自分と今の自分をつなぎ、「自分は変われる」という自己効力感を持てた時に、行動は安定します。ここで役立つのが記録です。記録は、親の安心のためだけでなく、子ども自身が成長を実感するための鏡になります。
実例(5歳女児・母)
「以前の目標を見て『わたし、もうこんなの簡単にできるもん!』と言っていました。記録していく大切さを改めて感じました。」
この一言は、改善の本質を示しています。子どもが“他人の評価”ではなく、自分の中で「できるようになった」を確認できている。これは人格形成の基盤である自己信頼につながります。そしてこの自己信頼が、発話にも挑戦にも波及します。話せるようになることはゴールでありつつ、同時に、この内的成長の結果として自然に安定していくのです。
まとめ:話せるようになるとともに、“選び、行動する力”が育つ

場面緘黙の改善は、声だけの問題ではありません。
本メソッドでは、子どもが話せるようになるとともに、安心の中で自らの選択を回復し、小さな行動に挑戦し、過程を承認され、記録と振り返りによって自己効力感を育てていきます。
その結果として、保護者が想像する以上に、子どもは成長します。
「話せた」だけではなく、「自分で選び、行動する子」へ。
それが、私の【場面緘黙改善メソッド】SMPTの改善プロセスです。
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「家では話すのに、どうして学校では話さないの」と、我が子のことが理解できずに困っている保護者様はいませんか?場面緘黙症は不安障害の一つで、話したいのに話せない状態です。我が子を理解することが支援の第一歩です。
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小さいころから、家以外で話すことが難しい
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家では元気でよくしゃべる
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小学校の中学年、高学年になって学校で話せなくなった
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聞かれたことに頷くことも非常にゆっくり
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緊張して体が固まる(動けなくなる)ことがある
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近年、多様化する価値観のなかで、心の問題も多様化、複雑化しています。うつ、社交不安などに加えて発達障害、ゲーム依存、コミュニケーションについての相談が増えています。精神科クリニックにも在籍し子どもから大人まで、カウンセリング延べ2,000人。クライアントの悩みに寄り添い、適切な心理療法を用いて問題解決へ向けてサポートします。