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幼児の場面緘黙症!放置は危険。親の接し方と早期の治療法3選を解説

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「うちの子家以外で話せないけど、場面緘黙症なの?…」そう悩んでいませんか?または、「単なる恥ずかしがり屋なだけ、放っておいても治る」そう考えていませんか?じつは、幼児期における場面緘黙症の放置は非常に大きな問題です。早期の対応の良し悪しで、その後の社会適応が大きく変わってしまうことも実際にあるのです。

社交不安が強い子どもと向き合っている母親

そこで、今回は場面緘黙症を放置するとなぜ危険なのか気付いたとき親にできる接し方、早期治療3選を現役心理師が徹底解説してきいます。

 

筆者はこれまで11年間で述べ4000名のクライアント様を支援させていただいていて、場面緘黙症は早期治療すべきと確信しています。実際に幼稚園児だと4ヶ月で治療、20歳を過ぎると2年ほどかかってしまうなどの傾向も見えています。私が開発したミライ開花SMPTメソッドは、行動療法をベースに、場面緘黙症にエビデンスのある方法を組み合わせたプログラムです。9割の場面緘黙症の子どもに改善傾向がみらたという、大きな成果を上げてきました。今回は「早期治療」と「行動療法」という点にフォーカスしてお子様の治療に役立つ情報をお伝えします。

 

この記事では、以下の5ステップで子どもの場面緘黙症の対処法について解説します。

・場面緘黙症の見分け方

・場面緘黙症を放置した場合のリスク

・場面緘黙症と原因

・場面緘黙症の子と親の向き合い方

・おすすめの早期治療法3選

 

 

本記事の治療法を実践することで、家以外で話せなかった場面緘黙症のお子様が、話せるようになり自信をもって社会に適応できるようになります。そのため、しっかりと治療を実践すれば、親の子育てが楽になり、お子様の将来の不安が解消し、家族全員が笑顔になれるんです。ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

自分の子どもが場面緘黙症かどうか?見分け方を解説

場面緘黙症の定義は、DSM5(米国精神医学会が発行している「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版)に明記されています。この中に5つの定義があるのですが、この定義に沿って考えると、場面緘黙なのかどうかの見分け方のポイントは下記の2つあると考えています。

・家と外の「ギャップ」がどれくらい大きいか。

・家以外で話せない期間が1か月以上続いているかどうか。

 

家と外の「ギャップ」がどれくらい大きいか

DSM5によると、場面緘黙症は不安障害の一つです。単なる性格の問題ではなく、話す能力はあるのに特定の人や場所で話せなくなるのです。家で見せる子どもの姿と、家以外で見せる姿にいくつかのギャップがあります。場面緘黙ではない子と比べると、このギャップが特に大きい傾向があります。では、早速どんなギャップがあるのかをチェックしてみましょう。

家と外のギャップについてチェックしよう

①発話のギャップ:家ではよくしゃべるが、外に出るとほとんど話せなくなる

②態度のギャップ:家では活発に活動できるが、幼稚園では動きが非常にゆっくりで固まることがある

③表情のギャップ:家では喜怒哀楽の表情が豊かなのに、外では表情がない

④緊張のギャップ:家ではリラックスしているのに、外に出ると緊張してしまう

 

これらのギャップが大きいのが場面緘黙児の特長です。

チェックが多くつくほど場面緘黙症の可能性が高いです。ただし、①が一番大きな特徴なので、ここだけにチェックが付く場合も場面緘黙症の可能性があります。なので、一度専門機関にご相談されてもいいかもしれません。

 

保護者様から「人や場所によって話せる人もいるんです。うちの子は場面緘黙症なのでしょうか?」というお声もよくいただきますが、実はこれに関しては、その場所に親御様と一緒にいるからかもしれません。「家ではよくしゃべるし、外でもある程度話せるよ」と言う場合でも、学校や幼稚園でどのような状態かを担任の先生などによく聞いて判断しましょう。

 

家以外で話せない期間が1か月以上続いているかどうか

私が支援したクライアント様の事例でも、家と外のギャップが大きくて一部の人とだけ話せる状態が、1か月どころか何年も続いている子がいます。具体的に下記のような状態が長く続いているのであれば、お子様は場面緘黙症で悩んでいるかもしれません。

この状態が長く続いているかどうかチェックしよう

①特定の1人か2人とだけしか話せない ※場面緘黙でない子は、程度の差はあれほとんどの子と話せます

②学校の授業や大勢の人前で発表することが出来ない

③クラス替えで担任や仲良しの友達と離れたら不安が高まり、できていたこともできなくなる

④学校以外の場所で「親といる場面」では話せる

 

これらの特徴は、わが子をよく観察していなければ見逃してしまいそうなことです。保護者の傍にいる時は「話せる」から、学校場面の事は、先生に訊いてみないと本当のことは分かりません。

先ほどの、「『人』や『場所』によって話せる人もいるんです。」という親御さんの話し

そうです、「人や場所によって話せたり話せなかったりする」これこそが場面緘黙症の大きな特徴であり、この状態が1か月以上続くなら場面緘黙症を疑ってみる必要があるかもしれません。

 

場面緘黙症と間違えられやすい疾患

なお、場面緘黙症と勘違いされやすい疾患として、身体的な疾患やストレスが関係するものがあります。

ちなみに、過去のトラウマ体験で話せなくなるのは場面緘黙ではありません。

→PTSDや心因性失声症の可能性があります。(いずれも心理的なストレスによるものです)。

他にも「声が出なくなる」症状には、脳の損傷や声帯の機能に何らかの異常がある身体的な疾患でも起こります。いずれも場面緘黙ではありません。

*見かけの症状だけで判断せず、専門医の診断が必要です。

 

いかがでしょうか、ここではわが子が場面緘黙症なのかの見分け方について解説しました。もちろん確定診断は医師の診断が必要ですが、うちの子家以外でおしゃべりが難しいんだけど、場面緘黙症なのかしら、どうなんだろうと心配な保護者様へ。単なる恥ずかしがりやだろうと自己判断せず、2つのポイントに当てはまったなら医療機関へ相談することをお勧めします。そのことが早期発・見早期治療につながります。

 

わが子が場面緘黙症かどうか専門専カウンセラーに相談する

 

 

場面緘黙症を放置しておいた場合のリスク

場面かんもく症に気づけなかった、もしくはこれくらいなら大丈夫だろうと考えて放置した場合は、二次障害のリスクが高まります。

2次障害とは何か

2次障害とは、元々の障害である場面緘黙症から発生する別の障害のことです。例えば、「場面緘黙症が長引くことで友人が出来ず、疎外感からだんだん学校に行きづらくなる」これは容易に想像できます。そのことにより下記のような別の問題が生まれる可能性があります。

 

2次障害の例

①不登校になる

②登校時に腹痛、頭痛に悩まされる

③精神的に辛くなり「うつ」になる

④外出が出来なくなり引き籠ってしまう

 

 

それぞれ詳しく見ていきましょう

 

場面緘黙症+2次障害による2重の困難が起こる

先ほど挙げた2次障害の例に沿って、どんな2重の困難が起こりうるのか考えてみました。これはこんな可能性がある、と言う話です。

 

①不登校になる

小学4年生ごろ(10歳前後)になると、子どもたちの人間関係が変化してきます。小学校の低学年までの近所に住む幼馴染の友達から、自分の興味関心が共通する同年齢集団のグループが出来ます。もちろん幼馴染とも縁を切るわけではないですが、自分と好みが似ている子と仲良くなっていきます。そんなグループの中に、上手く自分の意思を表明して加わることが出来なければ、これまで仲良しだった子とも距離が出来てしまいます。

もう、低学年の頃のように待っていても誘ってくれなくなるのです。すると当然疎外感が生まれ、仲良くしたいのに自分からは、仲間に入ることが出来ないことでだんだん学校がつまらない場所になってしまったとしても不思議はないでしょう。その結果として不登校になってしまう場合があります。

 

②登校時に腹痛、頭痛に悩まされる

お子様から腹痛や頭痛を訴えられ、内科に行っても異常がない場合はストレス性の症状の可能性があります。本人には学校に行きたい気持ちがあるけれども、朝から腹痛やお腹が緩くなったりと、身体に影響が出てしまうクライアント様を私も多くみてきました。この症状の場合は親御さんが無理やり学校に連れて行くことはむしろ逆効果なので気をつけましょう。

③精神的に辛くなり「うつ」になる

これは、②の状態がもっと悪化した場合になることがあります。気分が落ち込むことは誰にでもありそのうち回復するものですが、それが長期間にわたって続き生活に支障が出るようになると、鬱になっている可能性があります。

うつの初期症状としては、 いつも気がめいっていて元気が出ない、人に会いたくない、普段なら大好きな音楽や趣味にも興味がわかなくなります。他にも、集中力・記憶力の低下のや、物忘れが多くなる、判断力が鈍る、ネガティブな思考が繰り返し浮かぶなどです。 感情のコントロールが難しくなり、感情の起伏が激しい、些細なことでイライラする、涙もろくなる、無気力感などが起こるようになります。食欲が極端に落ちた。逆に過食になる、夜眠れない状態が2週間以上続くなど、はた目にも辛そうな状態になります。

 

④外出が出来なくなり引きこもってしまう

場面緘黙症の二次障害として引きこもってしまう場合があります。 場面緘黙症の子が引きこもりになった場合、下記のような困り感が出てきます。

・自分に自信が持てない、

・社会参加する勇気が出ない、

・人と話すことが怖くなる、

家が唯一の安心する場所であるためその場所から出られなくなっていると考えられます。

 

厚生労働省のガイドラインでは「様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念」と定義されています。(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)*「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」はこちら👇

http://chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000779362.pdf(平成22年5月)

ただ、厚生労働省のガイドラインでは心的要因だけではなく様々な要因の結果と言われているので、場面緘黙症が原因と決めつけず、その他の原因もお子様とコミュニケーションを図って探ってみる必要があります。

 

 

幼児の場面緘黙症の原因

場面緘黙症の原因は特定されていません。様々な要因が絡みあって起こると考えられています。主な要因は4つあります。それぞれわかりやすいように解説していきます。

 

要因1:遺伝的要因

場面緘黙は不安という遺伝的素因があると言われています。場面緘黙の保護者が、不安になりやすいタイプだと自覚していることは珍しいことではなく、親族の中に同じようなタイプの人がいることもあるでしょう。また、きょうだい(特に一卵性双生児)が場面緘黙の症状を示す可能性は極めて高いと言われています。

要因2:不安や恐怖に過敏なタイプ

場面緘黙が起こる要因として、偏桃体の過敏性仮説があります。私たちの脳は、ある状況を危険と認識すると、偏桃体が働いてその危険と闘うか回避するかのいずれかの反応を起こして身体を守ります。場面緘黙児は偏桃体が過敏に働いて、通常は危険とまでは言えない場面で不安を回避しようとする体の反応が起こって「話せなくなる」のではないかと考えられています。 (Davis, 1992)。

 

要因3:文化的要因

 

学校では大人しい子が好まれる傾向がある

・それぞれの 文化によって、子供がどのように他者とコミュニケーションを取るべきかの期待が異なるのです。例えば、日本の場合であれば、大人しく静かに振る舞う子どもが好まれる文化であると言われます。そのため子どもが静かにしていることがよいと感じて、これが場面緘黙症の一因となることがあります。

場面緘黙とは学校で起きやすい病気

上下関係がはっきりしている文化

対話が一方向的な文化では、子供が自分の意見や感情を表現する機会が少なくなりがちです。例えば、親や教師が権威を持ち、子供に対して一方的に指示や命令を下すことが一般的であるような文化では、子供が自分の意見や感情を表現する機会が少なくなります。これが場面緘黙症の一因となることがあります。

 

学業や社交の場での成功が強く求められる文化

学校では、成績が良いことやスポーツでの活躍が評価されやすいですね。一概にその文化が悪いわけではないですが、元々生まれつき緊張や不安が強い子どもの中には、そのような文化の中で生活することで、失敗を恐れ、他人にどう見られるかを常に気にするようになり、これが緘黙に繋がることがあると言われています。

核家族が一般的な文化

大家族が一般的な文化では、子供は多くの大人や年上の子供と日常的に接する機会が多い中で自然と会話する頻度が高くなります。現在の日本では、核家族が一般的な文化では、家族外の人との接触が少なくなりがちです。これが社会的な不安を助長する可能性があります。

 

要因4:環境的要因

家庭環境

親が過保護または過干渉であると、子供は自分で問題を解決する機会が少なくなり、不安が増すことがあります。この結果、他者と話すことに対する恐怖心が強まることがあります。

家庭内の緊張: 家庭内での対立やストレスが多い場合、子供は不安を感じやすくなり、その結果として場面緘黙症を発症する可能性があります。

 

子どもの緘黙は家庭環境のせい?

不適切な養育環境が原因で場面緘黙になる、という考え方は現在では否定されています。ではその、不適切な養育環境とは何か?

子供の健全な心理的発達を妨げるような家庭環境や養育方法を指します。

具体的には以下のような状況があります

〇過保護過干渉

〇冷淡・無関心

〇過度の厳格さや罰

〇家庭内暴力

〇不安定な生活環境

 

学校環境

学校内の環境も重要です。教師やクラスメートが理解を示さず、緘黙症の子供に対して圧力をかける場合、子供の不安は増す可能性があります。いじめなどの対人ストレスや: 高い学業の要求やプレッシャーも子供にとって大きなストレス源となり、場面緘黙症の一因となることがあります。

社会的環境

子供が新しい環境に適応する過程で、移住や転校は大きなストレスとなり得ます。新しい言語や文化に適応することが難しく、これが場面緘黙症の引き金となることがあります。例えば転勤族の方とか、海外に移住する場合などがあります。

また、新しい環境で 子供が周囲からの声掛けが少なかったり、場面緘黙への理解が不十分な場合は、孤立感や不安感が増し、場面緘黙症を発症しやすくなります。

 

                出典:場面緘黙の子どものアセスメントと支援 心理師・教師・保護綾のためのガイドブック エイミーコルトバ著 丹明彦監訳

 

かつては不適切な養育環境が場面緘黙症の主な原因とされていましたが、現代の研究によって、遺伝的、生物学的、環境的、心理的な要因が複雑に絡み合って発症することが明らかになりました。

これにより、単純に家庭環境の問題に帰結するのではなく、様々な角度から包括的なアプローチが必要とされています。

しかし、現在でも一般によく知られていないために、ストレスのせいだとか養育環境のせいだとか誤解されることが多いのも事実です。

 

メンタルケア心安では

このような誤解を失くし、広く一般の方にも場面緘黙症の理解を深めていただくための取り組みを行っています。

 

 

場面緘黙症の場合、親としてどう接するか

親として緘黙の子どもと接する際の心構えや適切な考え方

積極的に自己開示して、周囲に理解と協力を求めましょう

私のクライアント様によく聞くお話ですが、わが子の場面かんもくに気が付いたタイミングは、「保育園・幼稚園に入園したとき」又は「小学校の入学を機に」というのが多いです。こんな時、仲良しのママ友に「うちの子こうなのよ~」と相談しても「そうなんだ~」としか言われないと「やっぱりわかってもらえないんだ」と感じて、悩みを抱え込んでしまいがちです。悪気はないんでしょうが「大変だね~」とそっけなく言われると傷ついてしまいますよね。

しかし、ここであえて積極的に自己開示して、場面かんもくのわが子の事を理解してもらう勇気を持ってみましょう。「決してわざと話さないわけではなく、緊張が強くて話せなくなってしまう状態なんです。でも、声を掛けてもらうと嬉しいし、仲良くしてくださいね」と伝えてみましょう。実際に、保護者会などで自己開示してその後理解いてもらい、協力を得られたという事例もあります。

同じ境遇の仲間を見つけましょう

共感しあえる同じ悩みを持つ方がいることで「私だけではなかった」「共感できる仲間が見つかった」とす~っと心が軽くなります。ママの心が安定していればちょっとしたことでイライラしなくなるし子どもを観る視点に余裕が生まれます。同じ年代の幼児を持つママだけはなく、少し年上のお子様を持つ先輩ママさんとの触れ合いも聞くことが出来るといいですね。

では、どうやって仲間を見つけるかというと、例えばSNS等を通じてかんもく児の親の会などもありますし、私が実施している場面かんもく改善メソッドですと、受講生さん同士のグループセッションとして同じ悩みをもつママと触れ合うことが出来ます。

親のメンタルを安定させておく

子どものかんもく状態のことを常に心配していて、親の精神状態が不安定になっていると、それは表情や態度に出て、子どもに伝わります。すると子どもも不安になり、親子で不安のループに陥る可能性が高まります。例えば、お子様が学校で話せないことが辛くなって、行き渋りから不登校になる場合があります。

親の心情としては

・学校には行くべき

・このまま不登校になったらこの先どうなるんだろう

・勉強が遅れて、ますます学校に行けなくなるのではないか

・進学や、就職が出来ないのではないか

 

と言うような思いこみや、不安が親の方にあると、何とか行かせようとして気持ちが焦り、子どもに強く登校を促したり、感情的に言い合うなどして親子関係が悪化する可能性があります。子どもはますます、逆の結果を招きかねません。こんな時は急がば回れの心境で、親御さん自身もゆったり構えて、子どものストレス緩和に注力することが大事です。

私のクライアントさんの例で言えば、緘黙のお子様が行き渋りから不登校の状態になって、当初は親も子も不安で家庭が暗い雰囲気でしたが、お母さん自身の不安を手放して、お子さんがリラックスできるような実践を取り入れたら、不登校になっていたお子様が少しづつ登校できるようになりました。そして当初の悩みであった登校時の腹痛や頭痛も次第に解消していったのです。

なので、無理強いするのは逆効果と言えます。心の辛さがストレスとなって体に出ていると考えられますので、まずは、親のメンタルを安定させて、子どもの心と体をリラックスさせてあげることが大事です。

 

自分の子育てを見直す

子育ての中で上手く行ったパターンと上手く行かなかったパターンにわけて見直すことが重要です。とはいえ〜毎日忙しく過ぎていく日常生活の中で自分の子育てのパターンに気づくことは難しいですよね。だからこのパターンは「記録」するようにしましょう。

 

上手く行ったパターンの例 (表にする)

*参考:拙著「わが子が家の外では話せないことに気づいたら読む本」p93の表

例えばこんなことです

 ・今日は子どもが珍しく自分から宿題を始めたので叱らなくて済んだ

 ・お兄ちゃんが、弟にゲームの順番を譲ってくれていたのを見て褒めた。 

 

たまたまでもいいので、こういった良い傾向を記録します。その時にお子様が努力をして叱らなくて住んだということもあれば、親御さまがお子様の意見とタイミングを尊重してうまくいった結果もあると思います。

 

うまくいかなかったパターンの例

例えばこんなこと

・ゲームの時間を守らせるために、いつも小言をいってしまうので、子どもが不機嫌になる

 ・子どもが癇癪を起こしてしまうと、親子でヒートアップしてお互い嫌な気持ちで終わる

 

 

こういった日常のやり取りを記録する中で、自分の子育てのパターンが見えてきます。記録する時には、5W1Hを意識して記述するとどの場面で上手く行きそうか、逆に上手く行かないパタンも見つけられます。

 

 

場面緘黙の正しい知識を得る。

本記事の場面緘黙症の見分け方の解説でもあったように、場面緘黙症に対する正しい知識を得ることが重要です。

一番は、医学雑誌とか専門書などの研究に基づいた信頼できる情報を得ることですが、一般の方がアクセスすることは難しいですよね。一方で、インターネットやSNS情報は、手軽に情報収集できる反面、信頼性に欠ける面があります。参考になる良質なものもありますが、個人的な体験の場合には、うのみにしないことが大切です。SNS情報は、子どもによって違うのであなたのお子様に合っているかどうかは疑問が残ります。なので、場面緘黙症の支援経験が豊富な心理師のプロに相談する事が大切です。

 

 

正しい手順でわが子をサポートする

SNSの情報などの一部を得た時点で、即実践してうまくいかないというお話をよく耳にします。実は場面緘黙症の改善には適切な手順があるんです。これを知らないとうまくいきません。下記の正しい手順に従ってお子様をサポートしていきましょう。

場面緘黙のわが子をサポートする具体的方法

①わが子だけのデータを取りましょう。

✅【場所】どこで話せて/話せないかを調べる

✅【人】誰と話せて/話せないかを調べる

✅【活動】どんな行事に参加できるか/できないか 部活や習い事はどうか

 

 

②わが子の【不安のレベル表】を作りましょう

①のデータはあなたのお子様のオリジナルデータです。これを使って②を付けます

✅【不安のレベル】は1~5までの5段階。数字が大きくなるほど不安が強くなります

✅①のデータを基に、子どもに訊きながら各場面、各人、各活動ごとの【不安のレベル】を数値化します

 

 

この①②のデータは他の誰のものでもない、紛れもなくあなたのお子様のデータです。これを使ってスモースステップ方式でトレーニングをすると間違いがないのです。

くわしくは拙著「わが子が家の外で話せないことに気づいたら読む本」の中で説明しています

 

自分で調べても、わが子が本当に場面緘黙なのかわからないときは、小児科や精神科を受診して診断を受けてみることも大切です。

 

支援を開始するタイミングは、以下を考えて行うことが大切です。

・どの程度親子で困っているか

・その困り感が、どれくらいの期間継続しているか

 

これを確認し、様子を見ていても改善しないと感じたら専門家に相談することをお勧めします。

 

 

専門的な治療を受ける際にどこにいけば良いか

場面緘黙症の診断や治療におすすめの機関4選

場面緘黙症を専門に行なっている機関はあまりありません。親の会や自助グループはインターネットで検索すれば多数出て来ます。ただし具体的な治療法が確立されていないこともあり、ノウハウを多く持っている機関を探すことは難しいのが現状です。その中でも信頼できる機関として4つご紹介します。

 

発達障害者相談支援センター/保健センター

各都道府県、自治体に設置されています。まずは情報収集してお住まいの機関に問い合わせしてみるとよいでしょう。

全国発達障害者支援センター 

児童相談所

都道府県ごとに設置されています。児童福祉を専門とした機関であり、医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれます。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると24時間365日、児童福祉に関する相談を受けてくれます。

全国児童相談所一覧

各医療機関(小児科/精神科/児童精神科/心療内科)

場面緘黙の多くが幼児期に発症することから、小児科を受診して診断されることもあります。かかりつけ医に相談しましょう。

私のクライアント様の場合ですと、小児科で診断がつかない場合、精神科等を勧められるケースも多いようです。ホームページ等で診療の内容をよく確認して、場面症緘黙の治療経験がある医療機関を探すといいでしょう。

 

場面緘黙の専門支援を行う公認心理師もしくは臨床心理士

薬を使わず、心理療法によって心のケアをする専門家です。公認心理師、臨床心理士の職場は多岐にわたります。医療・保健、教育、福祉、労働・産業などの分野で働いています。

場面緘黙症に関連する場合は、医療保健分野が主で、病院や診療所、リハビリテーションセンターなどの精神科・心療内科などに勤務し、医師の依頼を受けて、心の問題で不適応に陥っている人等に心理的支援を行ないます。又は、開業して専門支援を行っている公認心理師、臨床心理士もいます。この中で、場面緘黙の心理的支援の経験がある、心理師・心理士を見つけると良いでしょう。

 

 

4,000人以上の治療実績がある専門心理師に相談してみる

 

早期の方向けの治療法3選

場面緘黙の治療には様々な方法がありこれまで実施されてきましたが、その中でも有効とされる治療法3選をご紹介します。

 

箱庭療法 

おすすめ度:★★☆☆☆

概要:砂の入った箱の中に、動物や生活用品、あらゆる環境のミニチュアが用意されていて、クライアントはその箱庭に自由に自分の世界を作る。セラピストが見守るなかで自己表現を行う心理療法です。ローンフェルトが開発し日本では河井隼雄が発展させました。遊戯療法の一つとされています。

特徴:自由にして保護された環境の中で、クライアントは箱庭の中に言語化が難しい内面の葛藤を砂の上に表現する。一時的な退行(幼児帰り)が起こりカタルシス(浄化)が期待されます。ただし、統合失調症や重度のうつ病患者には適さず、禁忌とされています。内面の葛藤が表現されたとき症状が悪化することがあるためです。

対象:3歳以上~大人まで

 

遊戯療法(プレイセラピー)

おすすめ度:★★★☆☆

概要:アンナ・フロイトやメラニー・クラインによって研究・開発されました。まだ自分の気持ちを言語化することが難しい幼時において、セラピストが子どもの遊びや絵画を通じて、子どもの心を理解していきます。子どもは、セラピストとの関係性に守られ、その安心感の中で自由に表現することにより、心の中のもやもやした気持ちを表現することができます。通常のお絵かきとの違いは心理のプロであるセラピストの分析が入ること。遊戯療法はプレイルームという守られた空間で限られた時間だけ行われます。

特徴:非言語でもできる。様々なおもちゃや遊具を備えた遊戯治療室(プレイルーム)という設備が必要になります。

対象:3歳前後から12歳前後(小学生まで)発達障害や知的障害、言語表現に障害がある場合は、青年期以降でも有効と言われています。

参考 日本プレイセラピー協会のホームページ

行動療法

おすすめ度:★★★★★

概要:スキナーが1930年代にオペラント条件付けを発見し行動分析学を創始しました(学習理論)。その後エリス(論理療法)、アーロンベック(認知行動療法)らによって発展しました。学習理論にもとづいて、問題行動を適応的方向に変容させることを目標として行われる行動変容技法の総称と定義されています。好ましくない行動を減らし、好ましい行動を増やすことを目的とした治療法です。場面かんもく児でいうと、社会的場面で話せない(好ましくない行動)を減らして、好ましい行動(社会的場面で話せる)スキルを獲得させるプグラムといえます。場面かんもく症の治療においてはエビデンスがあります。(文献)

特徴:クライアントとセラピストが共同して行動面での治療目標を立て、刺激フェーディング法(刺激を入れたり取り除いたりして、スモールステップで話せる場面を増やしていく技法)その他さまざまな技法を用いて不適切な反応を修正します。

対象:幼児~大人

上記の理由で、一番お勧めする治療法は行動療法です。

 

 

正しく行動療法を続けるにはプロの心理師に相談するのがおすすめ

上記で説明した通り、場面緘黙症の治療には行動療法が1番お勧め。一方で、実施するにはプロの心理師のサポートが必要です。お子様が症状で悩んでいらっしゃる場合は、お住まいの地域に行動療法に詳しい心理士の方がいらっしゃればぜひ相談してみてください。

 

場面緘黙のお子様と向き合っていくならメンタルケア心安にご相談ください

 

筆者は、2013年から場面緘黙に悩むクライアント様と接してきた中で研究を重ね、場面緘黙の治療にエビデンスがある行動療法を基に、各種必要なスキルを組み合わせ独自のメゾッドを開発しました。それが、【ミライ開花SMPT®】です。2020年に、専門的に場面かんもく症の支援を行う施設としてメンタルケア心安を開業して今日までやってきました。

コロナ禍を経て、メゾッドをオンラインで受講可能なプログラムにアップグレードして、全国~海外のクライアント様まで対応しています。その延べ人数は11年で4000人超の親子をサポートし、9割の子どもに変化がありました。

 

どのような変化があったのか、改善した事例

当社による改善事例はこちらをご覧ください。テキストをタップすると詳細がご覧になれます。

5カ月で小学校受験に合格した5歳の幼稚園女児

 

7ヵ月で話せるようになった高校生女子

中学1年~3年半で話せるようになった高校3年女子

6か月で不登校が解消し、登校が可能になった中学2年男児

・8か月でオンライン上で会話が出来、中学受験して合格。かんもくフェスで何度も体験発表してくれた中3女子

 

12か月で話せるようになり、引っ越し先でも話せるようになった小学3年女児

・22歳で支援開始、1年過ぎて発話ができた女性

5年以上長期にわたって支援したかんもく児もいます

中学2年から7年支援し、引きこもりを脱して専門学校に進学し資格を取得して就職している現在20歳の女性

中学2年から5年間支援し、別室登校から脱して高校は寮生活、現在は県外でひとり暮らしをしている大学生女子

 

子どもの年齢は3歳~26歳まで。年齢を問わず、支援開始時期を問わずメソッドの実践により改善した子ども達がいます

メンタルケア心安(ココアン)では、場面かんもく症でお悩みの保護者様へのご相談を受け付けています。

 

メンタルケア心安の詳しい取り組みはこちら

わが子が場面かんもく症かもしれないとお悩みの方、ぜひ一度お気軽にご相談くださいませ

初回30分【個別相談】申し込み

初回30分個別相談申し込み

「家では話すのに、どうして学校では話さないの」と、我が子のことが理解できずに困っている保護者様はいませんか?場面緘黙症は不安障害の一つで、話したいのに話せない状態です。我が子を理解することが支援の第一歩です。

  • 小さいころから、家以外で話すことが難しい

  • 家では元気でよくしゃべる

  • 小学校の中学年、高学年になって学校で話せなくなった

  • 聞かれたことに頷くことも非常にゆっくり

  • 緊張して体が固まる(動けなくなる)ことがある

上記の症状があるお子様のことで相談をご希望の方は

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・対象のお子様年齢(学年)

・かんもく状態の経緯を簡単に

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    ひとりの場面緘黙の男の子との出会いが、私が場面緘黙の子を支援するきっかけとなりました。彼と信頼関係を築くのは容易ではありませんでしたが、根気よく関わることで変化が生まれてきました。筆談から電話での会話が可能になり、一部の人と話せるようになりました。この記事を読まれた*ご意見・ご感想*などございましたらお気軽に、お願いいたします。

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      この記事を書いた人

      中之園 はるな

      現在精神科クリニックにも在籍し、カウンセリング実績延べ2,000人。育てにくい子を持つママの子育てを応援をしています。特に近年、緊張が強くて家以外では上手くはなせない、場面緘黙(かんもく)症の子が増えています。これまで場面緘黙に悩む親子、延べ4000人以上支援してきました。正しい知識と、適切な支援があれば少しずつでも話せるようになります。

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